PROJECT STORY

独自ルートでコスト削減、クオリティを死守
フランスの新工場立ち上げに成功!

西日本営業本部 装置営業部
システムマネジメント工学科卒
2008年入社

日本企業の海外戦略をサポート

近年、日本の人口減少に伴い国内市場の縮小が懸念され、多くの日本企業が次々と海外進出に挑戦しています。椿本興業は、日本を支える企業の海外戦略に、当社のノウハウを提供しながら共に取り組んでいます。今回ご紹介するのも、まさにお客様の新たな海外進出をサポートするプロジェクトです。

今回のクライアントは、椿本興業として長年取り引きを頂いている農機具メーカー。普段は国内の生産工場へ装置を納入しています。世界の人口増加に伴い、食料の生産効率化が求められるなか、欧米の巨大市場への参入がお客様の課題でした。その第一歩として欧州屈指の農業市場フランスに工場を立ち上げるプロジェクトが始動。お客様がこの案件のご相談をして頂いたのは、私が椿本興業に入社してまだ数年経った頃。初めての総額数億円規模のビッグプロジェクトに、不安を覚えながらもワクワクしていました。

今回立ち上げるのは、大型農機の組み立て工場。お客様が世界各国で生産した農業トラクターの部品をフランスに集め、そこで組み立てトラクターを完成させ、欧州、北米などで販売。特に北米は、世界で4兆円とされる大型農機市場のうち約4割を占めるビック市場。お客様としては本格的な欧米市場参入となります。
そのクライアントの海外展開の鍵となる工場へ、椿本興業が組み立てラインを納入することが決まったのです。

海外案件ならではのスキーム作成

プロジェクトを進めるにあたっては、まずは弊社からスキームをお客様に提示します。お客様ものづくりに必要な設備装置、その予算や仕様、現地での組み立てなど、稼働開始までをイメージし提案します。ここまでの金額のプロジェクトとなると、やはり限界までコストの削減の要求があります。コストを抑える方法は様々ですが、アジアなどの海外協力メーカーで製作するのが王道スキーム。しかし今回のクライアントは日本を代表する大手企業。海外進出において日本のものづくりで誇れる『品質』を最高レベルに保つためにも、当社の納入する製品の品質も死守しなければなりません。
そこで社内の技術部門に相談。一緒に図面を書き起こしてもらい、その製作をマレーシアの協力メーカーに依頼することで、品質を確保しながら製作費の削減に成功しました。

また、海外案件で最もネックになるのが、製作メーカーからフランスまでの「輸送方法」。大きな機械は船での輸送になりますが、長期間の輸送の場合、海上の湿気で機械が錆びる、天候や上陸手続きから輸送が大幅に遅延する等のトラブル要因が潜在しています。
トラブルを未然に防ぎ、なおかつコスト削減のため現場での据え付け工事まで一貫して任せられる輸送業者を探さなければなりませんでした。今回のような超長距離の輸送は社内では過去に例がなく、今までにお世話になった協力メーカーやお客様の人脈を辿るなどして輸送業者を探しました。

こうして製品と工程が決まり、実際にプロジェクトを動かす仕事が始まります。

プロジェクトを牽引するリーダーシップ

海外で仕事をする際には、日本人の感覚が通用しないことが多々あります。今回、製作をするのはマレーシアの工場。これは私の感覚ですが、東南アジアの方はスケジュール管理が苦手で、時間の流れ方が日本人とは違いました。国内と同等の工程管理では製作が間に合わないことがあります。その為、現地と緻密に連絡を取り合い、進捗を確認することを大切にしました。時には、書面や電話での確認だけでなく、本当に製作が進んでいるかどうか、マレーシアの工場まで実際に赴き、自分の目で確認したことも。
というのも、過去の案件において、電話やメールでしか進捗を確認していなかったために、いざ出荷前に海外工場に赴いたところ全く製作が進んでおらず、結局納期寸前での完成となり、ひやりとした経験がありました。国によって仕事の進め方の感覚は異なるので、双方の立場を理解した上で仕事を管理することが必要になります。

また、フランスの現場と連絡を取るのも一苦労。欧州工場のプロジェクトですので、プロジェクトの主導はフランス。連絡が取れるのはフランス人の勤務時間の8時間。つまり日本では夜中の1時から朝8時の間にやっとフランスと連絡が取れるのです。その為、オンタイムでの情報共有ができず、なかなか思う通りに仕事は進みません。細かくスケジュールを立て、それぞれの進捗を常に把握しておくことが求められます。

あとは、放置しないこと。すべて報告する、すべて提示する、すべて証を残す。証がなければ平気で仕事や商談が無かったことにされてしまいます。このような小さい動きや意識ひとつで、仕入れ先やまわりを取り巻く環境や人たちをコントロールできます。だからこそ、海外案件ではより強いリーダーシップが求められます。

苦境も楽しめる人、実力をつけたい人

2015年5月の時点で無事納入は終わり、お客様の欧米市場への参入も順調。おかげさまで同工場の、次のステップの仕事もご相談頂いております。 世界の情勢、日本企業の戦略の間に立ち、日本企業の世界進出をサポートするのが椿本興業の仕事。入社してから出張で行った国は、中国、台湾、香港、韓国、インドネシア、タイ、マレーシア、ブラジル、フランスの9ヵ国。今後は、ミャンマーやベトナム周辺を攻略したいです。海外での経験をもっと積んで、新しいスキームを会社やお客様にも還元し、提案していきたいと思います。 椿本興業はチャレンジ精神を応援する会社です。若いうちに、たくさん挑戦し、たくさん失敗してください。苦境も楽しめる人なら、椿本興業でも楽しんで生きていけるはずです。年齢やキャリアに関係なく、自分の裁量で仕事の幅や場所を決めることが出来る。実力を付けたい人にはぴったりの環境だと思います。

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