PROJECT STORY

困難な課題でも技術力で期待に応える!
実績は、自分でつくる

西日本本部 動伝第一営業部
法律学科卒
2006年入社

難しい相談内容、解決策は見つかるのか

商社であってもお客様と一緒にものづくりをしている。 技術力でお客様の問題を解決する。皆さんに知って欲しいのはそんな椿本興業の姿です。 私が担当して5年目、お客様と信頼関係が深まり始めた頃に取り組んだプロジェクトを紹介します。 そのお客様であるエンジンメーカー様と椿本興業は数十年ものお付き合いがあり、エンジンの部品やその周辺の機械などで年間数億円の取り引きがありました。

ある日、打合せをしている際にお客様から相談されたのが、浚渫船(海底に溜まった土砂を吸い上げて、水路の確保をする船)の吸い上げ装置についてのものでした。これはお客様にとっても実績のない初の装置で、非常に重要な案件でした。
この装置はエンジンで吸い上げ用のポンプを動かすのですが、ポンプに大きな負荷がかかった際にエンジンがダメージを受けてしまうという問題がありました。そのダメージからエンジンを保護したいというのがお客様からの相談内容でした。

船内の装置で使用環境が厳しい上に、エンジンが車何十台分にも相当する巨大なもののため解決策が見つからない状況でした。私も初めて話を聞いたとき、これはかなり難しい案件で解決策が見つかる自信はありませんでした。

しかし、当社とお客様はこれまでも技術力で様々な問題を解決してきました。今回も何とかその期待に応えるべく、私はこのプロジェクトに取り掛かりました。

協力メーカーが見つからない!?

まず、最初に行うことは今回の装置の全体を把握することでした。その上でお客様の図面、仕様書を検討し、今回の提案の方向を決めていく必要があります。
今回の装置は1台数千万円となる見込みで、当然、私一人の知識だけでは手に負えず、上司、先輩の力をかりて社内で検討を重ねた結果、船内での厳しい環境を考慮し、機械式の保護装置をエンジンとポンプの間に入れる方式にターゲットを絞り、それを製作可能なメーカーを探すことになりました。

しかし、今回扱うエンジンは自動車何十台分のエンジンパワーに相当する巨大なものだったため、当社と取引のあるメーカーに相談したところ、どのメーカーでも「そんな大きな装置はない」「実績が無い」といったものばかりでした。
私は国内での協力メーカー探しを諦め、海外メーカーの検討を始めました。
データや資料の入手が難しく、メーカー選定が思うように進まない中、他部署の先輩が「過去にトンネル掘削機の案件で、類似装置をイギリスから仕入れたことがあり、そのメーカーなら対応できるかも」いう情報を教えてくれました。わらにもすがる気持ちで、そのメーカーに相談したところ、「難しい案件だが対応出来そうだ」との回答があました。やっと解決の糸口がつかめた瞬間でした。

しかし、そのメーカーも「この規模の保護装置を日本に納入した実績がなく、大きすぎて装置を組み上げての動作確認が出来ないので、日本できちんと機能するか、立証ができない」との回答。
このままではお客様も安心してこの装置を採用することが出来ない為、メーカーと相談し時間が許す限り、イギリスでのモジュールテスト(機械の中の部品を単体ごとに動作検証をすること)を重ね、立証を試みました。その結果、なんとか自信を持って提案できるレベルまで装置の信頼性を検証することができ、あとはお客様の採否の判断を待つばかりとなりました。

コスト面では劣勢、逆転の受注獲得

今回の装置を最終的にお客様に提案できたのは当社を含めて2社でした。もう一社の提案も海外メーカーでドイツ製の装置の提案だったようです。事前情報では競合相手のドイツメーカーの方がコスト面では優勢とのことでした。
その状況を打破する為、当社としてはコスト面よりも、メンテナンスのしやすさをアピールするとともに、商品が実際に動いている動画を見て頂いたり、問い合わせに対して素早く対応するなど、海外商品を使用することへの不安を払拭することに力点を置いて対応しました。

そして最終提案、見積の後、見事私の提案が採用されたとお客様から連絡が入ったのです。提案までの道のりが難しかったぶん、もう飛び上がるほど嬉しかったです。立ち上がって「ありがとうございます!」と何度も言葉にしていました。
お客様の話を聞くと、メンテナンス性や提案内容が評価されたのはもちろんですが、何よりも、お客様が海外メーカーの採用に不安を感じていたことを読み取って、レスポンスの早さで安心感を持っていただくことを意識したことが大きく評価されたとのことでした。
そして、装置完成後の最終確認でイギリスへ出張し、これまで図面と動画でしか見ていなかった装置が実際に出来上がったのを目にした時は感動さえ覚えました。自分が中心となって動き、様々な人の協力があり、それが目に見える形となって世に残る。この仕事の一番の醍醐味だと思います。

過去の頑張りが今に、今の頑張りが未来に繋がる

現在このプロジェクトは、来年の稼働に向け設置、調整作業が進行中。皆様が入社する頃にはきっと浚渫船として世の中で活躍していることでしょう。
さらにこの案件の受注を受けて、来年アメリカに新設する新工場もお手伝いさせて頂ける事になりました。

このプロジェクトで受注の鍵になったのは、レスポンスの早さや社内での相談・共有・情報収集の大切さ。そして何よりも、諦めずに取り組む心。それさえあれば、前例のない案件だって例をつくってしまえる、そんな環境が椿本興業にはあると思います。
そしてその頑張った結果、お客様、仕入先メーカー、社内から信頼され、次の案件に繋がっていく。そんな良い連鎖が椿本興業の仕事を支えています。

事業紹介については
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