SOLUTION STORY

EQUIPMENT AT RECYCLING CENTER

PROJECT OVERVIEW プロジェクト概要

エンジニアリング商社としての課題解決力が試された今回の官公庁プロジェクト。
過去の官公庁プロジェクトで積み上げたノウハウと、現場に何度も足を運んで細部にわたりチェックし、
お客様とメーカーとを橋渡しする調整力が成果につながった。
何より、プロジェクトをスムーズに進めることができた最大の要因は、
課題に対して常に先手を打ち続けたことだった。

PROFILE

設備装置事業

柴田 孝太朗Shibata Kotarou

2017年入社。中日本地区で過去に官公庁プロジェクトに携わった経験を持つ。
エンジニアリング商社としての矜持を持ち、お客様とメーカーとの橋渡しをきめ細やかに行いながら課題へのソリューションを提供することで、数々のプロジェクトを完遂させてきた。

求められる品質に応えるため、
調整役となり進行をハンドリング

プロジェクトの概要と、椿本興業が携わった経緯を教えてください。

リサイクルセンターの建設に伴い、廃棄物の搬送設備を開発・導入するプロジェクトです。
これまで数度、リサイクルセンターに設備を導入した実績があったため、プロジェクトを統括するエンジニアリング会社様からその実績を認められ、お声がけいただきました。
官公庁のプロジェクトでは、民間企業とは異なるノウハウが必要となります。今回共に設備開発に携わったメーカーさんは官公庁のプロジェクト参加が初めてだったので、求められる品質に応えるためには、お客様とメーカーさんの意見を調整するハンドリング力が不可欠。そこがエンジニアリング商社としての腕の見せどころだと感じていました。

これまでの経験が活かされたのですね。

はい。お客様からは詳細な仕様書をいただけますが、自治体によって環境が異なるためご要望や重視される点は異なります。また、仕様書をそのままメーカーさんに渡すと認識の齟齬が生まれる場合があることを別の官公庁プロジェクトで学んでいました。
そこで今回はまず、プロジェクトが始まる前に私が仕様書を一枚一枚読み込み、ポイントとなる情報を洗い出しました。事前にエンジニアリング会社様ともすり合わせを行ってその情報を共有し、エンジニアリング会社様の仕様把握の負担軽減に努めました。その後、ご要望を正確に汲み取った上でメーカーさんに噛み砕いてアウトプットし、認識の共有を進めました。

技術課題や材料不足を
知見とネットワークで解決

設備開発を進める中で難しかった点はありますか?

納入した設備は、コンテナに入った空きビンをコンベヤで上部フロアへ搬送し、コンテナを反転させて空きビンを選別用振動コンベヤに排出するまでの搬送設備です。課題となったのは、ビンを排出する際の騒音と破損を軽減することでした。
特注のゴムシートをコンベヤに敷くことで軽減できると考えましたが、通常はゴムを敷く設備ではないため、取り付けにはさまざまな工夫が必要でした。例えば、ゴムシートが分厚いため、強力な接着剤を使っても剥がれてしまいます。お客様からは接着剤の付け直しの指示を受けましたが、上司やメーカーさんとアイデアを出し合い、カバーで固定することで耐久性を高める方法をご提案しました。

より良い解決策を提案したのですね。

はい。お客様からの指示通りに対処するだけでなく、常に疑問を持ち、お客様が気づかない課題までを先読みして根本的な解決策を出すことが大切です。そのためにも、コミュニケーションをしっかり取ることはもちろん、5年先、10年先を見据え、長期的な目線で判断することを心がけています。

他にはどんな課題がありましたか?

設備に不可欠な電線の不足も課題の一つでした。当時、全国的に電線が不足し、どの電材メーカーにも在庫がない状況が続いていたんです。今回のプロジェクトで指定されていた電線も、電材メーカーさんにストックがありませんでした。
私が所属する装置営業部では、部品メーカーとの直接の取引はありませんが、部品を取り扱う動力伝達の部署が幅広いネットワークを有しています。そこで社内で協力体制を築き、国内外のメーカーの情報を得て、複数社に在庫がないか毎日確認を取りました。1、2ヶ月間粘り強く連絡し続けたある日、一社から「入荷しました!」と連絡をいただき、即座に注文して無事オンタイムで納品できました。

自らの足と目で現場を見て
先回りで問題の芽を摘み取る

プロジェクト進行中は、お客様とメーカーとの調整役としてどのようなことを実践しましたか?

重視していたのは、自分の目で現場を確認することです。設備をユニットごとに目視で確認し、図面通りに施工できているかを検査したところ、設備自体の機能や品質には問題がなく、むしろ品質を高めるためにメーカーさんが工夫を加えてくれていた部分もありました。しかし、図面とは異なる部品が付いている箇所や図面にはない補強が入っている箇所については、その理由や合理性をお客様に説明することが重要です。変更の経緯や理由、利点をメーカーさんに一つ一つ確認しました。
一方で、図面通りに戻す必要があると判断した部分については、理由をお伝えした上で修正をお願いしました。修正が終わるまでメーカーさんの工場にまで足を運び、図面通りに進んでいるかを自分の目で確認しましたね。そして、エンジニアリング会社様が自治体に変更点を説明しやすいように、検査成績書にまとめて提出しました。

問題を事前に防いだのですね。

はい。状況を確認し、必要に応じて対策を講じ、問題の芽を摘み取る。これを地道にいったことがプロジェクトのスムーズな進行につながったと考えています。
官公庁のプロジェクトでは、お客様とメーカーさん、双方の重視するポイントを理解した第三者が間に入ることが非常に大切だと改めて感じました。

今回のプロジェクトの経験を今後、どのように活かしていきますか?

官公庁プロジェクトでの、お客様の期待に応えるためのノウハウは確実に増えました。他のプロジェクトでもこのノウハウを活かし、さらにスムーズに課題解決につなげられるよう社内に還元したいですね。
椿本興業には、技術的な知識で案件の課題解決をサポートする技術室という部隊があります。今回のプロジェクトでも、技術室のサポートがあり、私一人では気づけなかった問題を未然に防ぐことができました。今後も技術室と連携し、チームで難度の高いプロジェクトにも挑戦していきたいと思います。