SOLUTION STORY

INTRODUCTION OF CLEANING SYSTEM

PROJECT OVERVIEW プロジェクト概要

最大2トンという鉄の加工品を取り回し、高精度に洗浄したい。
半導体業界からの要望に応えたのは、自動車業界で培った高度な技術だった。
長年、共に技術の研鑽に勤しんできたメーカーとの強力なタッグで、
オートパレットチェンジャーを組み込んだNC洗浄機の技術を発展させ、お客様の課題を解決。
人手で行っていた洗浄作業の自動化で現場の負担を軽減し、工場全体のオートメーション化に貢献した。

PROFILE

設備装置事業

植草 克佳Uekusa Katsuyoshi

2009年入社。主に医療業界、事務機器業界のお客様を担当。
これまで、医療機器の組み立て設備の開発に携わったほか、事務機器においては梱包設備を海外にも広く導入してきた。
今回のプロジェクトでは、自動車業界で培った技術をメーカーとの協働で半導体業界に応用し、現場の課題に新たなソリューションを提供した。

自動車業界での実績からひらめいた
課題解決への道

プロジェクトが始まった経緯を教えてください。

動力伝達事業部でお付き合いのあるお客様が新工場を建設するという話を聞いて、ご挨拶にうかがったのが始まりです。
お客様が抱えるさまざまな課題について話を伺いながら、それに対して当社のできることをPRする中で洗浄機の話になり、「洗浄機も扱ってるんだ」と興味を持っていただけました。

お客様はどのような課題を抱えられていたのですか?

お客様は半導体製造にかかわる製品のメーカー様なので、非常に高い精度が求められる加工を行っています。そのため、仕上げ加工前に測定や洗浄を行う工程が必要になるのですが、その洗浄を人の手で行っていたのです。鉄の塊を粗く加工した部品ですから、仕上げ加工前に洗浄剤を使って洗浄しなければならず、現場の方の負担になっていました。そこで、細な穴まで狙い撃ちで洗浄できるNC洗浄機をご提案しました。しかし、導入にあたって一つ問題があったんです。
NC洗浄機を加工ラインに組み入れるにあたって、ワークの取り回しをオートパレットチェンジャー(APC)で行う必要がありました。それも、最大2トンという非常に重いワークを受け取り、さらに姿勢転換をして洗浄機に引き込まなければいけません。その技術に対応してくれる洗浄機メーカーが見つからず、お客様も半ば諦めていたようです。

ツバコーではその解決策を持っていたのですか?

はい。長年お付き合いのある洗浄機メーカーから、自動車業界で同様の実績があることを聞いていたので、その技術を展開すればうまくいくと直感しました。「APCもセットで納入できますよ」というお話をすると、「それなら自動化できそうだ」とお客様の期待も高まっていきましたね。

自動車業界での長年の技術研鑽が
他業界への展開を可能にした

自動車と半導体。
異なる業界での技術の展開は可能なのでしょうか?

ベースの知見があるとは言え、その洗浄機メーカーも2トンという大きさのワークを扱うのは初めてですから、そこはチャレンジでした。
ただ、これまで自動車業界からの高度で複雑な要求に応えるため、メーカーとツバコーとで共に頭を悩ませ、数々の難題をクリアしてきたという経緯があります。洗浄に強いメーカーの技術と、幅広い業界経験があるツバコーがタッグを組んで研鑽してきた技術とノウハウ。これが今回に活かされましたね。洗浄の要件定義や、油圧機器の設計や選定なども取り決め、今回の要望に応じたAPC付きのNC洗浄機を開発できました。

工場への導入もスムーズでしたか?

新工場ならではの難しさはありました。当社以外のたくさんの業者さんが入るので、業者間の擦り合わせや日程変更によるスケジュール調整には奔走しましたね。それでも振り返って見れば思ったほどの苦労がなかったのは、お客様とメーカーの意見調整を円滑に行えたからだと思います。

お客様からの評価はいかがでしたか?

テスト段階からばらつきのない安定した洗浄結果が得られ、かなりの高評価をいただいていました。何より、これまで人手で行ってきた大変な作業を自動化できることで、現場の方に非常に喜んでもらえましたね。
ひとまず2台を購入いただいたのですが、現場の方からの強いリクエストがあって、追加導入も検討いただいています。

大きな課題が一つ解決できたのですね。

はい。これまで人手で行ってきたということは、逆に人手があればどうにかなる作業。それでも高額な機械を複数導入していただけるほど大きな価値を見出してくれたことが嬉しいですね。
完全に自動化したいというのがお客様の最終的なご希望なので、そこに一歩近づくお手伝いができたと思います。

「困ったらツバコーに相談」
プロジェクトで生まれた信頼関係

お客様との関係性に変化はありましたか?

高い評価をいただいたので、NC洗浄機の導入で打ち合わせをしている最中に「次はこんな機械探してるんだけど」とお困りごとを気軽にご相談いただけるようになりました。最終的には別機種の洗浄機やコンベヤなどの付帯設備もご注文いただけたんです。
「困ったらとりあえずツバコーに相談」と考えていただける関係性を築けたのではないでしょうか。

信頼関係を築けた一番の要因はなんでしょうか?

一方的にこちらからアピールするばかりではなく、お客様のお困りごとに耳を傾けることですね。その道のプロであるお客様が困っているということは技術的に難度が高いことなのですが、意外とこれまでの経験や仕入れてきた情報から解決方法をご提示できることが多いのです。だからこそ、常日頃からさまざまな業界から知識や情報を更新することが大切。その積み重ねが、今回のように他業界でもバチッとはまる提案につながります。

さまざまな業界のメーカーとのお付き合いが大切ですね。

そうですね。メーカーにとっても、自動車業界に特化した技術を他業界に展開できたことは大きな成果。
お客様にも現場の方にも喜んでいただけたし、メーカーにとってもメリットが大きいプロジェクトでした。これからも、関わる全ての人にとって良い結果をもたらす仕事がしたいですね。

このプロジェクトを通して、今後どのような提案を行いたいと思いますか?

ツバコーは商社ですから、調べればすぐ答えが出てくるソリューションを提供することに意味はありません。
やはり、「こんなことできるんだ」「他では見たことがない」と言われるような、付加価値の高い技術や情報を提供できなければ。
情報が溢れている中で、光る何かを提案したい。それが商社の存在価値だと思います。