INTERVIEW トヨタ自動車株式会社 様
トヨタ自動車
株式会社
モノづくり
エンジニアリング部
坂本 達哉 様Sakamoto Tatsuya
椿本興業株式会社
動力伝達事業
中神 貴大Nakagami Takahiro
OVERVIEW 概要
ものづくりを通して社会をより良くするという信念のもと、新しい製品や工法、設備などをスピーディーに生み出し、
「世の中にないものづくり」に挑戦し続ける「モノづくりエンジニアリング部」。
トヨタ自動車様のものづくりをトータルで牽引する同部に、椿本興業はこれまでさまざまな商品を提案させていただいた。
CHAPTER.1
高度な要求に応える提案で、
プロジェクトの課題を突破
椿本興業にお声がけいただいたきっかけを教えてください。
坂本様最初は、搬送ベルトについての相談でしたね。搬送と言ってもただモノを移動させるだけでなく、生産性向上やコストダウンにつながる高精度・高強度なベルトが必要でした。それまで採用していたベルトに代わる、より要求に合致する製品を探していた時にお声がけしたことがきっかけです。
中神坂本様と初めてお会いしてまず、「世の中にないものづくり」をこの開発スケジュールでやり切るのかと驚きました。しかし、搬送部品は当社の得意分野なので、なんとかお役に立ちたいと思いヒアリングしていく中で、日頃からお付き合いをしているメーカーさんがパッと思い浮かびました。品質や納期への要求にも応えてくれるだろうと考え、すぐにメーカーさんとの打ち合わせの場を設定させていただきました。
坂本様初回から、私たちが目指すものづくりに強く興味を持っていただいたことはよく覚えていますよ。製品品質に関わる重要部分に使用するベルトだったので、確か、高精度なカスタマイズが必要だったと記憶しています。
中神はい。メーカーさんも最初は要求される加工精度の高さに驚いていました。トヨタ自動車様にもその都度ご相談しながらカスタマイズを進めたことで、何度かテストをして要求仕様をクリアでき、問題なく導入できたと思います。
坂本様この案件で出会ったことをきっかけに、少しずつ椿本興業様に相談する機会が増えていき、カスタマイズ品を含め、多様な部品に対して柔軟に対応できるネットワークを持った商社だと次第に思うようになりました。
どのような案件を通して、そう思われましたか?
坂本様ステンレスラックが大量に必要になった時には、私たちの設計・開発の時間軸に合わせた納期で手配してくれました。通常なら「その納期には間に合いません」で終わるものを、メーカーさんとの間に入って交渉し、開発スケジュールに間に合わせていただきましたよね。
中神納期の短縮が難しい場合もありますが、まずは一度、どうすれば短縮できるのかを一歩踏み込んで考えたいですね。ステンレスラックの場合は、入手可能な期日を材料ごとに調べた上でメーカーさんと交渉を進め、工程を分けて手配できるように調整しました。メーカーさんも「やったことがない」と言っていましたが、なんとかお願いして、密にやりとりを重ねながら期日通りに納品できました。
坂本様レスポンスも良いです。「こんな部品が欲しい」と私から相談した時の動きは本当に早い。ピンと来たものがあれば翌日でもメーカーさんを連れてきていただきましたし、電話やメール一本で数日後には提案を返していただける。スピーディーなものづくりをサポートしていただいていると感じています。
CHAPTER.2
どんな難題にも、
必ず提案が返ってくる
椿本興業に対して最も評価いただいている点をお聞かせください。
坂本様社内で設計をしていると外からの情報が入りづらくなり、過去の経験から「こんな製品はないだろう」と思い込んでしまうことがあります。そんな時に、椿本興業様は頻繁に足を運んでくれ、カタログやネットでは検索できない情報を次から次へと提供していただける。例えば、ある開発プロジェクトで大きな課題に直面していた時に提案していただいた温度センサは特に印象に残っています。
中神温度ムラを、ピンポイントではなく複数箇所で計測できるセンサをお探しでしたね。サーモグラフィでは正確に測定できない環境下だったため、メンバーの方々も測定に苦労されていたとお聞きしました。そこで温度センサに強いメーカーさんに相談したところ、ご要望に合う製品があることが分かり、2日後にはメーカーさんの担当者と現場に訪問させていただきました。
坂本様コストを抑えながら製品品質を高めるためには、どうしてもそのハードルを乗り越えなければいけませんでしたが、あの温度センサを導入したことで、行き詰まっていた課題の突破口が見えました。もっと早く相談すればよかったと思いました。
競争力の高いものづくりをするには最新の工法や製品を取り入れ、その最新のものをヒントにしながら試行錯誤することが大切なので、椿本興業様が情報をどんどん出してくれることが非常に助かります。その情報力、提案力を信頼しています。
中神ありがとうございます!「世の中にないものづくり」というポリシーを持って開発されているので、坂本様も、これまでの設備からの変化点で悩まれることも多いと思います。そこに我々が貢献できるものがないか、常に先手を打って提案することを意識しています。
ご提案する製品についてはいかがでしょうか?
坂本様取り扱う製品の幅はかなり広いと感じます。例えば、国内メーカーの減速機でカバーできない特殊な搬送領域には、海外メーカーの減速機を提案していただきました。国内メーカーの場合、大型になると特殊扱いになり納期もかなり長引きますが、海外メーカーの製品なら標準品扱いの場合もあるので、品質が良いものをコストを抑えて導入できます。
逆に質問したいのですが、そういう新しい製品の情報はどのように入手しているのですか?
中神年間、何千社という仕入れ先とのお付き合いの中で、毎日のようにさまざまな情報が集まってくるので、これを各営業担当に共有しています。ご提案する製品を探す際には、一部署だけでなく全社で連携して仕入れ先をあたりますし、社内で事例を学ぶ分科会も実施しています。そういった横のつながりで有意義な製品や仕入れ先の情報が得られることも多いですね。
坂本様あるプロジェクトでリークテスタを探していた時は、かなり特殊な要求に対しても提案を返していただきましたね。これは採用にはなりませんでしたが、どんな相談に対しても提案が返ってこなかったことは今までなかったので、「聞けば何か出てくるかもしれない」と私たちも期待して相談しています。
中神ありがとうございます。どのご相談も難易度が非常に高いのですが、「できない」「難しい」と言ってしまえばそれで終わってしまいます。社内の各部署や専門のメーカーさんとのネットワークを駆使して知恵を絞り、「この条件下なら、この製品で実現できるのでは」というところまで掘り下げて、ご提案につなげたいと思っています。
CHAPTER.3
世界を凌駕する、
競争力の高いものづくりを
坂本様がものづくりで重視していること、また、ものづくりをする上で椿本興業に期待することをお聞かせください。
坂本様先ほど、温度センサで課題の突破口が開けたというお話をしましたが、やはり、開発段階では「現象を見える化する」ことが非常に大切だと思っています。その現象がどんな原理で起こっているのかをチーム全員が理解すれば、必ずレベルの高いアイデアや考えが生まれると考えています。これは、椿本興業様の知恵をお借りする時も同様ですね。
中神はい。いつも分かりやすい資料を作成いただいて「この部分をどうにかしたい」と具体的にご相談いただけるので、私たちも認識を間違えず、適切なメーカーを選び、適切な提案につなげられます。
坂本様逆に椿本興業様からの提案でも、ただカタログに書いてあるような特徴だけではなく製品の原理に踏む込み、その構造からも見えるような具体的な提案をしてもらえることを期待しています。そうすれば、私たちもその提案がヒントになって製品をさらに応用でき、新しいアイデアやもっとこんな製品はできないかという逆の提案も生まれます。それが、世の中にない、競争力の高いものづくりにつながっていくと思います。
中神お任せください!坂本様から「日本のものづくりの競争力を上げていく」というお話を何度もお聞きするうちに、私たちにも「その一翼を担いたい」という気持ちが芽生え、高まっていきました。部品や設備の供給面からトヨタ自動車様のものづくりに貢献できるよう、これからも提案力をブラッシュアップしていきます。
※2024年8月取材