INTERVIEW

ダイハツディーゼル
株式会社

執行役員
経営企画室長

浜 匡輝 Hama Masaki

椿本興業株式会社

京滋北陸SD 装置営業部
システム三課 主任

福田 智光Fukuda Tomomitsu

PROJECT OVERVIEW プロジェクト概要

船舶用エンジンメーカーであるダイハツディーゼル様は、
大型エンジンの生産強化のため、兵庫県姫路市に約6万㎡もの広さを持つ新工場を建設された。
このプロジェクトでツバコーは、塗装ブースとエンジンの工程間搬送を担う重量物台車を導入。
新工場のコンセプトである「ストレート&フラット」の実現をサポートさせていただいた。

CHAPTER.1

フレキシブルな工場を目指し、
日本初の設備導入に挑戦

ツバコーにご依頼いただいた経緯をお聞かせください。

これまで当社のエンジン生産を担ってきた工場では、天井クレーンや有軌道台車で製品を運んでいました。しかしそれでは柔軟性がありません。姫路工場は30~100トンを超えるエンジンを扱う大型工場ですが、設備を固定することなく、時代とともに変化する自由度の高い工場にしたいと考えました。コンセプトは「ストレート&フラット」。ツバコーさんから提案いただいた台車がまさにそれを実現するものだったのです。

福田リモコンで360°自由自在に走行する「Wheelift(以下、ホイーリフト)」という台車で、1台で50トンまでのエンジンを搬送できる上、複数台を光センサー通信で同期させることでそれ以上の重さにも対応できます。例えば、3台を同期させれば150トンの重量物の搬送も可能になります。
アメリカの製品ですが、弊社ではもう20年ほど前に国内のメーカーと協働でライセンス契約を結んでいました。

そこが発注する上で決め手の一つになりましたね。アメリカと直接やり取りするのではなく、納品もアフターフォローも日本のメーカーさんがやってくれて、間にツバコーさんが入ってくれる。これは大きな安心材料でした。

福田やはり、アメリカの製品となると抵抗感を持つお客様もいらっしゃいますから、弊社で日本式にアレンジしてご提供できるスキームを作っていたんです。

私たちもインターネットなどでこういう商品がないか必死になって探したのに、全然見つからなかったんですよ。
そこにサッと魅力的な商品を提案してくれた。大ヒットです。

福田ありがとうございます。塗装ブースの提案はいかがでしたか?

他社と比較検討しましたが、ツバコーさんの提案がはるかに良かったです。他社の提案では個別設計の場合、専用部材で組み上げるためリードタイムが長くなってしまう。一方でツバコーさんの提案は塗装ブースメーカーがフィルター・パネルを内製しており、それならリードタイムも速いだろうし、後のメンテナンス性も良さそうだと感じました。
運用に合わせるために無茶な要求もしましたが、全て実現させてくれましたね。

福田そうですね。弊社とは昔からお付き合いのある大型ブースの特注仕様に強いメーカーさんにお願いしていたので、どんな要望にも応えてくれるという自信がありました。

ホイーリフトは日本初の導入ということですが、不安はありませんでしたか?

最初は不安だらけでした。ですから、話を聞いてまず思ったのが「実物を見てみたい」ということ。
ところが日本には販促用のデモ機1台しか現物がないので、複数台が同期して動く様子を見ることができません。そこでアメリカまで視察に行きました。

福田日本初というとかっこいいですが、やはりお客様は不安です。確かな商品なのか。ツバコーに任せて大丈夫なのか。ましてや相手はアメリカ人。コミュニケーションはうまくいくのか。そういう不安を払拭することが第一だと思ったので、社内の海外事業部と連携をとってアメリカへの視察をご提案したのです。NASAの工場に導入されていると事前に聞いていたので、現地でNASAとの電話会議もセッティングしました。

その電話で「トラブルはありませんか?」といった現場の使用感も聞けました。現地のメーカーの人にも気になる点を全て投げて答えをもらい、実際に2台が連動して動く様子も見ることができて、どんどんワクワク感が膨らんでいきましたね。
最後に向こうのメーカーの人から「どうですか?」と聞かれて最初に出てきた言葉が「Amazing!」でした。

福田あとは物理的なフォローですね。修理用の予備品はツバコーが一式持ちます、ということでご安心いただけました。

CHAPTER.2

メーカーとの間に立ち課題を
解決するパワーに「さすが商社!」

設備の導入で印象に残っていることはありますか?

ホイーリフトの納品前にアメリカのメーカーから床用塗料を高い面圧と帯電防止が可能なものにして欲しいと言われて、社内で「どうすればいいんだ」と困っていました。しかし、策が見つからずツバコーさんに相談すると「帯電対策は弊社で対応します」と言ってスピーディーに解決してくれましたね。

福田日本の設備メーカーに協力してもらって、電気を逃がすチェーンをホイーリフトに設置することで対応できました。これまでさまざまな製品を扱う中で、同じ手法でうまくいった実績があったのです。アメリカ側には、こちらで問題を解決できることを伝え、商品を送ってほしいと交渉しました。

アメリカ人とのやり取りなので、日本の感覚とは違う要求をされることもあります。それをそのまま私たちにパスされるだけだったら、商社を入れずに直接メーカーとやり取りしたほうが早いんですよ。でも、ツバコーさんが向こうの要求を全て受け止めてしっかり解決してくれたから、こちらも不安を全てぶつけることができました。工場にもずっと通ってくれていましたね。

福田はい。現場にも入っていたので、工場の全体像が見えているんです。
だからこそメーカーとのコミュニケーションも弊社が主導でコントロールしなければ、という思いがありました。

姫路工場の立ち上げは、予算を抑えるために取引方法を一から見直すなど、これまでにとらわれない方法で取り組みました。しかし、ツバコーさんには入ってもらって良かった!「できません」とは一言も言わず、メーカーと私たちの間に入って頑張ってくれたという印象です。商品提案も含め、「さすが商社!」というパワーを見せてくれました。

福田ありがとうございます!

工場の稼働後はトラブルなどありませんでしたか?

大きなトラブルはありませんでしたね。
今も良い印象しか残っていません。

福田ありがとうございます。
細かいやり取りはいろいろあったんです。例えば、ホイーリフト2台を本格的に連動させて動かすというタイミングで、1〜2週間前からアメリカのエンジニアを招いて一緒にテストも行いました。その動きも最初から100点満点だったわけではないので、機械の調整を重ねて本番に挑みましたね。

ただ設備を導入し使い方とメンテナンスの研修をしてハイ終わり、ではないところが安心ですね。
日本のメーカーさんも定期的にフォローしてくれていました。

CHAPTER.3

固定概念を破り、時代とともに
変化する革新的なものづくりを

当初の希望である「自由度の高い工場」は実現できましたか?

姫路工場が完成して1年で現場を離れたので、しばらくはノータッチだったのですが、今年になって久しぶりに工場に行く機会がありました。すると、導入当初からレイアウトが大きく変わっていたんです。聞くと、姫路のメンバーが相談しながら自分たちで改善していったそうです。
当初の狙い通り、モノの作り方を柔軟に変えていっていることが非常にうれしかったですね。

福田私も、大々的な竣工式を拝見して「私たちが導入した設備はこんなにすごいのか」と実感できてうれしかったです。

これまでの固定概念を破り、日本における大型のものづくりを変革する可能性を秘めた工場になったと思っています。
革新的な設備なので、もっと多くの工場で導入されてほしいですね。

ダイハツディーゼル様のものづくりにおける今後のビジョンをお聞かせください。

ものづくりには今、環境への配慮が求められています。地球環境への負荷を考えた設備導入やものづくりをすることがメーカーに課せられた使命と考え、我々も多くを学び、取り組みを進めています。商社であるツバコーさんにもぜひ、豊富な商品知識やアイデアで力を貸していただきたいですね。面白い提案をしてもらえれば食いつくと思いますよ。

福田はい、魅力を感じていただけるよう、引き続き技術力に磨きをかけていきたいと思います。

※2021年8月取材