SOLUTION STORY

PAPER INDUSTRY SOLUTION

PROJECT OVERVIEW プロジェクト概要

大手製紙メーカーが新たに立ち上げる、ティッシュの大型ロールを搬送から包装まで行う設備ラインの導入を担当。
数々の技術的な課題が山積し、さらには短い納期という厳しい条件の中で、プロジェクトを成功に導かなければいけない。
このプロジェクトでは、社内の技術室を要に、専門性が高い協力会社とうまく連携をとりながら、
一歩ずつ課題をクリアし成功へと歩みを進めた。

PROFILE

設備装置事業

西岡 信之Nishioka Nobuyuki

2013年入社。FA/マテハンシステムの提案をはじめ、施工管理や技術的なサポートまでを行う設備装置事業を担当。主に、農機・建機や製紙業界のお客様に携わり、過去には中国で大規模な製紙工場の生産ラインの構築にも携わった。
今回のプロジェクトでは、合計6社の協力会社を取りまとめる、チームの中枢としての役割を担った。

お客様にとっても初の試み
いくつもの課題を抱えたプロジェクト

まず、今回のプロジェクトの概要を教えていただけますか?

大手製紙メーカー様からのお引き合いで、ティッシュの大型ロールの搬送から包装までを行う設備ラインのご相談がありました。
短納期であることや、お客様自身もレイアウトの構想が固まっておらず、未確定な要素が多いところが大きなハードルでした。
そして打ち合わせを重ねるうちに、さらなる課題も見えてきました。

課題とは一体、どんなものだったのですか?

ひとつは、ティッシュの大型ロールがスリット(切り込み)された状態でコンベヤを通して搬送されるのですが、その切り込みの幅が200mmというものでした。これだけ幅が細いと自立できずコンベヤに乗り継がせる時に倒れてしまう。さらに、設備を設置するスペースの問題もありました。
「限られたスペースに、どうやって設備を組み立てればいいんだろう」と最初は頭を悩ませましたね。

これらの課題に対して、何から着手されたのですか?

弊社が過去に手掛けた膨大な実績の中から応用できそうな情報を片っ端から収集していきました。ここで、助かったのが社内の技術室の存在です。
当社の技術室には、製紙・新聞工場内の設備を設計したことがある社員も在籍しており、その社員のサポートを受けながら、収集した情報をベースに今回のプランを練っていきました。

専門性が高い協力会社と連携をとり、
同じ目標に向かって突き進んだ

どのようにプロジェクトを進めていったのですか?

まずはお客様が何を求めているのかを具体化していく作業から手掛けました。構想が固まっていないので、打ち合わせを重ねて徐々にイメージを固めてもらおうと。
例えば、こうした状況では設備構成の変更が頻繁に起こるのですが、できるだけスピーディーに図面を書き換えてお届けしていました。
より具体的なものを資料として出すことで、お客様自身もイメージしやすいですし、より良いプランになるという考えもありました。
この時も、技術室のメンバーが積極的に協力してくれ、レスポンス良く図面を作成することができました。こうして図面をもとに打ち合わせを重ねて、プランを固めていきました。

最終的に、どのようなプランを提案されたのですか?

最小幅200mmにスリットされたロールについては、過去の知見から乗り継ぎがうまくいかないことが分かっていたため、別の方法を模索しました。
そこで、思い当たったのが、コンベヤに乗り継がせるのではなく、クランプ式のトラバーサーで掴み、次の工程に移動させるプランです。
この方法であれば、途中で倒れる心配はありません。また、通常2台のコンベヤを使用する場合に比べ、よりコンパクトな設備構成を実現できるので、スペースの問題もクリアできました。

なるほど。これらの構成には複数の協力会社が関わったのですね?

そうです。前例がないプロジェクトであるだけに、各工程では高いノウハウが必要だと考え、それぞれ専門性が高い協力会社にお願いしましたね。
例えば、200mmという細いロールをトラバーサーで掴む工程もそうです。一品一様の設備に長けた協力会社だからこそ、当社のプランをスムーズに具現化できました。最終的には6社の協力会社と共に、プロジェクトを進めていきました。

6社の協力会社と足並みを揃えるのは大変ではなかったですか?

日ごろから細やかにコミュニケーションをとって信頼関係を築いており、その関係性の中で、数々のプロジェクトを進めてきたので、今回のような条件が厳しい場合でも、快く協力してくださり同じ目標に向かって最後まで走り切ることができました。

ゼロからプロジェクトを支える、
厚い信頼関係が大きな成果を生む

今回のプロジェクトでは、どの部分が評価されたと思いますか?

もちろん、最終的にご提案したプランで評価いただいたと思いますが、最初の関わり方にも良い印象を持っていただきました。
やはり、未確定要素が多く短納期となれば、他のエンジニアリング会社やメーカーなどはリスクの高さを考えて敬遠しがちです。
逆に私たちは、これまでのお客様との関係性や、ご要望を形にしたいという思いを優先し、受注前から何度も話し合いながらプランをご提案していきました。その熱意も評価されたように思いますね。
だからこそ、プロジェクトの途中で何度か困難に直面したのですが、私たちを信頼し最後まで任せていただきました。

こうした経緯の中で、プロジェクトを無事に終えた時、お客様からどのような言葉がありましたか?

社内での課題検討には苦労しましたが、現地での導入がスムーズだったこともあり、特別な言葉はなかったです(笑)。
ただ、無事に終わって休憩している時に、ご担当者様から「西岡さんにお願いしてよかった」とさり気なくお伝えいただいのは嬉しかったですね。
そうした評価もあり、当初のプランに追加して、包装されたロールにラベルを貼る工程についてのお引き合いもいただくことができました。
この設備も競合他社とのコンペでしたが、他社との差別化に加え、これまでの仕事で築いた信頼関係もあり、当社にご依頼いただきました。
このような信頼を得られたことは、周囲で協力いただいた方々のお力なので、大変、感謝しています。

今回の経験で得たものは何だと思いますか?

厳しい条件をみんなで乗り越えたことで、より結束力は強まったと感じています。
設備装置事業は、エンジニアリング会社のような機能を持ち、お客様にご提案できることが強みなので、協力会社の方々との関係性が強まったことで、また新しいプロジェクトにも挑戦できるように思いますね。

実際、新たなプロジェクトは動き出しそうですか?

具体的なプロジェクトについては、まだまだこれからです。
ただ、他の製紙メーカー様から今回手掛けた設備装置について関心があるというお話を聞きました。このプロジェクトで得たノウハウをベースに、お客様が求めていることや設備の条件面などをしっかりと把握し、創意工夫を繰り返して、新たなプランをご提案することができれば何よりです。